6.パソコン、スマホも実はしゃべってくれる


パソコン、スマートフォン(スマホ)、タブレット(多機能携帯端末)も実は、しゃべってくれる。音声認識技術を使って音声でやりとりするiPhone(アイフォーン)の「Siri(シリ)」、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」は有名だが、それだけではない。もっと基本的な、画面上のアイコン名やホームページなどのテキストデータを読み上げる機能が最初から組み込まれていることは、意外と知られていない。

iPhoneやiPad(アイパッド)などアップル製品なら「設定」→「一般」→「アクセシビリティ」とタップしていくと、「VoiceOver」という項目が現れるので、それをタップすると、音声読み上げ機能が起動する。設定後は画面上のアイコンに指で触れると、「日経電子版、ダブルタップで開きます」と音声でガイドしてくれる。ダブルタップして開くと、そのままテキストデータの記事を読み上げる。

マイクロソフトのパソコン用基本ソフト「Windows(ウィンドウズ)」にも同様の「ナレーター」機能がある。こちらはコントロールパネルを開き、「コンピューターの簡単操作センター」から即設定できる。ただし、最新の「ウィンドウズ8(エイト)」はどのパソコンでも使えるが、「ビスタ」と「7(セブン)」では日本語合成エンジンが入っている機種でないと日本語の読み上げはできないので、設定する際には確認が必要だ。

最後にもう一つ、光学式文字読み取り装置(OCR)で印刷物の文字データを読み込み、音声で“しゃべらせる”専用機もあるので、参考までに紹介しよう。

アメディア(東京・練馬)が開発した「よむべえスマイル」だ。スキャナー機能付きのプリンターに専用リモコンを取り付けたような構造で、A4サイズの書類の文字データを取り込める。雑誌や書籍は複数ページ分を続けてスキャンした後でまとめて読ませることができるほか、銀行の預金通帳用の「通帳スキャン」モードというユニークな機能もある。

同社は全盲の望月優社長が「視覚障害者の自立生活をテクノロジーで支援する」を理念に掲げて創業したIT企業。2005年に発売した「よむべえ」シリーズは、視覚障害者や公共図書館など累計約5000台の販売実績を持つ。「よむべえスマイル」は今月発売したばかりの最新機種で、新たに手書き文字の読み上げもできるようになった。本来は視覚障害者のための福祉機器なので、価格は19万8000円と高額だが、望月社長はこう語っている。

「加齢や病気で視力低下が進んで悩まれているシニアの方も、いざとなればこんな機械があるということを知っているだけで、気持ちが少しは楽になるのでは……。現に私だって、これで印刷物を読んでいるんですから大丈夫!(笑)」 次回は「聞こえ(聴力)」の衰えをカバーしてくれる製品と使い方を紹介しよう。

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